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科博SCAblog

科博SCA(国立科学博物館サイエンスコミュニケータ・アソシエーション)のblogです

【ご紹介】舞台「酸素 ~誰が『発見』した?~」開催の裏側をのぞく Part.1

こんにちは!科博SCA広報委員の加藤です。
いつも「サイエンスコミュニケータだより」をご覧いただきありがとうございます。

2017年12月10日(日)に、国立科学博物館にてSCA演劇分科会が舞台「酸素」を上演します。
この舞台の主催者にインタビューを行ったので、その様子を2回にわけてレポートします!
イベント開催概要については、Part.2の記事をご覧ください。


科博史上初!?
舞台「酸素~誰が『発見』した?~」開催の裏側をのぞく
Part.1





加藤:今日は、12月10日(日)に国立科学博物館の講堂にて上演される舞台、
「酸素 ~誰が『発見』した?~」
の主催者である、蓑田(みのだ)さん・蕪山(かぶやま)さんにお話を伺います。
どうぞよろしくお願いします!

蓑田:よろしくお願いします。

蕪山:よろしくお願いします。

加藤:お二人は、普段どのような活動をされているんですか?

蓑田:私はWEcafe(ウィーカフェ)という団体で、サイエンスカフェを企画しています。
WEcafeでは様々な分野の研究者の方をお招きして、イベントに参加される方と研究者の方の交流がスムーズに行えるように支援をしながら、お集まりいただいた皆さんとその日のトピックについて話し合っています。 

蕪山:私は大学時代から演劇を始めて、現在は企業で働くかたわら、オペラサークルで活動をしています。 科学関連の企画では「偉人カフェ」というものを開催したことがありますね。 演者がエジソンなどの偉人について学んだうえで本人になりきって、現代人であるインタビュアーやイベント参加者の方から出た質問に即興で答えていく、というトークイベントです。

加藤:お二人ともイベントに参加される方との相互的な交流を大切にされているんですね。
そんなお二人が、「酸素」の公演を企画されたのはなぜでしょうか?

蓑田:二人とも、科学にまつわるライブでのイベントをやってみたい、と考えていたのがきっかけですね。

蕪山:もともと私は科学とは無縁の学生時代を過ごしていましたが、あるとき所属大学が科博のパートナーシップ制度に加入していて無料で入館できることを知りました。
それでふらっと訪れた科博でちょうど開催されていた、恐竜をテーマとしたサイエンスカフェに参加して、「こんな新しいエンターテイメントがあるのか!」と感銘を受けたんです。
その場でしか見られない、聞けないという体験を提供しながら、参加者とやり取りする研究者の方の姿がとても新鮮で……。
それ以来、私が得意とする演劇と、一期一会の体験を提供できるサイエンスカフェの要素を組み合わせてみたいと思っていました。


蓑田:私はライブ感のあるコミュニケーションに興味があってWEcafeを主催していますが、一回のサイエンスカフェで関われる人数にはやはり限りがあるんです。20人ほどがちょうどいいくらいで、40人もいたら対応するのが大変で……。
もっと大勢の方と一度にコミュニケーションできる方法はないか、と考えていたときに蕪山さんと出会って、大勢の参加者に対するコミュニケーションとして、演劇ってとても効果的なんじゃないか、と思ったんです。
なんと言っても一回の公演で100人の方に参加していただけますからね!!
それで「サイエンス×演劇」という観点で作品を探していたところ、見つかったのが「酸素」(原題“Oxygen”)でした。



今回の演劇のもととなった書籍”Oxygen”

加藤:共通の興味を持ったお二人が出会ったことで、今回の科博での公演が実現されたんですね。
この“Oxygen”は英語の作品のようですが、日本語訳されたものがあったんですか?

蕪山:いえ、ありませんでした。なので、今回のために翻訳して台本を書きました。
仕事の合間に翻訳作業をすすめたので、大体2ヶ月くらいかかりましたね。
実は、この作品の作者の一人であるロアルド・ホフマン氏は、ノーベル化学賞の受賞者なんです。そのため化学の専門用語がしばしば出てきて、翻訳には苦労しました。
一通りの翻訳を終えたら演者さんたちと調整しながら改良を重ねて、徐々に完成形に仕上げていきました。


蓑田:日本語での上演にあたっては、作品の権利の関係もあって、原著者のホフマン氏に直接メールをしたんです。
そうしたら彼、"Good Luck!"って返事をくれたんですよ。ノーベル賞を受賞されるほどの研究者だったので、連絡がとれるか心配でしたが、無事許諾をいただけてほっとしました。


加藤:ホフマン氏ご本人と直接やり取りできるなんて、貴重な体験をされましたね!

加藤:今回の企画は科博SCA(国立科学博物館 サイエンスコミュニケータ・アソシエーション)の会員と、市民演劇ボランティアのメンバーとのコラボレーション企画だと伺っています。
どのような方々が今回の企画に関わっていらっしゃるんでしょうか?

蓑田:科学的な内容や、参加者の方とのコミュニケーションを監修するSCA会員の運営スタッフは、専門性や演劇経験の有無はさまざまです。科学だけでなく、舞台や演出への興味を持っているという人があつまっています。

蕪山:実際に役を演じるのは、私をはじめとする市民演劇ボランティアです。
普段プロとして舞台に立っている方もいれば、会社員をしながら趣味で演劇を続けている方もいます。
今回出演するメンバーは、台本を書き進めながら「この役にはこの人しかいないだろう!」と思った方に声をかけていきました。
演者はみな文系出身ですので、初めこそ「科博ってなに??」という方もいましたが、みなさん演題や開催場所である科博に興味を持ってくださっています。自主的に科博に足を運んでくれた方もいるくらいです。
役づくりでそれぞれの人物について学ぶうちに、どんどん科学への興味が深まったようでした。


加藤:演じる方たち自身が、準備を進める過程で、科学への興味を深めていったんですね。
当日参加される方にも、同じように科学への関心を深めていただけるとよいですね!


気になる舞台のあらすじ・見どころの紹介は、Part.2へつづきます!
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