【ご紹介】舞台「酸素 ~誰が『発見』した?~」開催の裏側をのぞく Part. 2
前回に引き続き、この舞台の主催者の蓑田さん、蕪山さんからお話を伺います。
第2回の今回は、舞台のストーリーや見どころに迫ります!
Part.1はこちらから
科博史上初!?
舞台「酸素 ~誰が『発見』した?~」開催の裏側をのぞく
Part.2
舞台「酸素」主催者の蓑田さん(左)と蕪山さん(右)
加藤:今回の公演「酸素 ~誰が『発見』した?~」のあらすじを教えてください。
蕪山:もしも、ノーベル賞が制定される以前の科学的大発見を表彰する「レトロノーベル賞」が創られていたら?というフィクションの物語です。
2001年にレトロノーベル賞が創設され、その第一号受賞者に選ばれることになったのが「酸素の発見者」だったのですが……。
蓑田:酸素を初めて「発生させた人」と、初めて酸素の発見について「論文にまとめた人」、初めて酸素による「燃焼の仕組みを解明した人」って、全員別の人なんです。
この3人のうち、最初に酸素を「発見」したのは誰か?ということを、現代のレトロノーベル賞選考委員と、18世紀を生きる3人の偉人とその妻たちが、それぞれの時代で熱い議論を交わしていきながら、話が展開していきます。
加藤:発見者は誰か、という点が論争になるんですね。
科学的な発見、というと全て一人の方、もしくは特定の研究チームの業績になるのが当たり前で、誰が発見者なのか議論になることは無いという印象があるのですが、そうとは限らないのでしょうか?
蓑田:現在は、論文や学会という世界共通の制度のもとで科学者同士が情報共有をしているので、最初にこの発見をしたのは誰か、ということはかなりわかりやすいですよね。
ですが、18世紀の当時はそういった制度はまだ発展途上でした。例えば何か新たな発見をした、ということを科学者が自分の知り合いに広めるのに、手紙が使われたりもしていたんですよ。
手紙は、現代の論文のように客観的な証拠が残るものではありません。また、手紙で自分のアイディアについて意見を求めた結果、受け取り主が先に実験を重ね、さも自分が思いついたかのように発表する……ということもあったようです。そのような状況なので、「発見者」を厳密に特定するのはなかなか難しいんです。
加藤:日頃新聞などで「発見」という言葉は何気なく見聞きしていますが、実際に「発見とは何か?」と聞かれると考え込んでしまいますね……。
加藤:では次に、今回の公演の見どころを教えていただけますか?
蕪山:3人の偉人たちが論争を繰り広げるシーンも楽しいのですが、それ以上に私が好きなのは、それぞれの偉人が三者三様の研究者としてのスタンスを出しながら、自身の妻としんみり語り合うシーンです。なかなか味わい深い場面なので、ぜひ注目してご覧いただきたいです。
蓑田:演劇そのものはもちろん、劇の幕間に用意している演出も要チェックです!
90分間の舞台の途中に2回の幕間をはさむのですが、その際に、科博SCA会員で、吉本興業の現役芸人である「黒ラブ教授」と参加者の方とのおしゃべりタイムを設けています。
ここでのやりとりを通じて、参加されている方がお持ちのさまざまな感想を共有したり、ご自身の考えを深めていただければと思っています。
観るだけではない、参加する演劇、を楽しんでいただきたいです!
加藤:演劇鑑賞というと、お客様は座って観ているだけ、というイメージがありますが、従来の演劇とは一味も二味も違った楽しみ方ができそうですね!
加藤:最後に、この記事をご覧になっている方に向けてメッセージをお願いします。
蓑田:今回の演劇は、内容ももちろんですが、科博で開催されるということも大きな特徴です。科博の地球館地下3階には、今回の演劇と関連の深い展示があります。公演に参加されたあとにお立ち寄りいただくと、きっと劇を観る前とは違った視点で展示を楽しめますよ!
蕪山:まずはサイエンスと科学者をとりまく人間ドラマ、その面白さを演劇として純粋に楽しんでもらえたらと思います。そのうえで、演劇のテーマである「発見」の奥深さも感じていただけると嬉しいです。
当日たくさんの方にお越しいただけるのを楽しみにしています!
加藤:科学的な発見の歴史や、当時の科学者たちの心情について思いを馳せながら公演を楽しんでいただきたいですね。
本日はお話しいただき、ありがとうございました!
蓑田:ありがとうございました。
蕪山:ありがとうございました。
<<今回インタビューさせていただいたお二人について>>
蓑田 裕美さん
WEcafe(ウィークエンド・カフェ・デ・サイエンス)事務局代表
国立科学博物館認定サイエンスコミュニケータ
科博SCA演劇分科会 代表
蕪山 剛志さん
科博SCA演劇分科会 副代表・演出
<<公演のご案内>>
舞台「酸素 ~誰が『発見』した?~」
[日 時] 2017年12月10日(日)14:00-15:30(13:30開場)
[会 場] 国立科学博物館 日本館2階 講堂(東京・上野公園)
[観劇料] 無料
別途 入館料が必要です。詳細は国立科学博物館ホームページ「アクセス・利用案内」をご覧下さい。
[定 員] 100名(事前申込み不要・先着順です。当日直接会場へお越しください。)
[対 象] どなたでもご参加いただけます。
[主 催] 科博SCA(国立科学博物館サイエンスコミュニケータ・アソシエーション)演劇分科会
主催連絡先 act@kahaku.sc (@を半角に変えてください)
[協 力] 独立行政法人 国立科学博物館
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